QUADRAL GALAN 9 試聴記 その7
GALAN 9の試聴、
少し趣向を変えてLPを聞いてみました。
フルトヴェングラーのSP録音を、
旧ソヴィエトのMELODIYAがLP化したものです。
ジャケットはありません(^^;。
元はHMVです。
楽曲は、
1938年にセッション録音された、
ベルリン・フィルとの
チャイコフスキー/交響曲第6番「悲愴」です。
もちろん、モノラルです。
今回聴いたLPのGOSTナンバーは1961でした
(ということは、1961年を起点として、
5年から7年間のうちに製作されたLPということでしょうか?
次のGOSTナンバーは1968です)。
「悲愴」は1938年当時、
ドイツでも人気が高く、
さまざな指揮者が「悲愴」を指揮しています。
1939年に第2次大戦が勃発しましたが、
戦争の最初の頃は、
ドイツとソヴィエトはポーランドを分割占領、
友好国でした。
しかし、1941年、ドイツ軍は突如ソヴィエトに侵攻しました。
さすがにドイツの敗戦まで、
ロシア音楽の演奏はかなり限られたようですが...。
1941年ドイツのソヴィエト侵攻まで、
友好国の音楽ということで、
チャイコフスキーなどロシアの作曲家による作品は、
盛んに演奏されていました。
フルトヴェングラーの「悲愴」は、
ドイツ風にガチガチにまとめたものではなく、
チャイコフスキーの情感を大切にした、
柔軟性のあるロマンに溢れた演奏を繰り広げてゆきます。
第2楽章など非常に美しい音楽になっています。
このような古い録音、製造のLPを、
なかなか満足できる音で聞くことができない理由の一つに、
ピチパチノイズがあります。
輸入盤、特に旧ソヴィエトのMELODIYA盤は、
盤質の問題もあり、
けっこうピチパチノイズが多く、
日本盤やイギリス盤などのLPのような盤質ではなかったことを、
まず頭に入れておかなければなりません。
それでも、カッティングマシーンなどは
かなり優秀なものが使われていましたので、
ノイズを我慢すれば、
音の良いレコードに巡り合うことも少なくありません。
このレコードも、
年代の割に音は非常にバランスの良いもので、
現代のHIFI録音とは言えませんが、
かなりのクオリティを持っています。
そのピチパチノイズが邪魔になって、
なかなか楽しませてくれないスピーカーもありますが、
GALAN 9は周波数特性の高域がずば抜けていて、
さらに解像度が高いためか、
モノラルながらステレオスピーカーで聞くと、
ノイズが音楽の枠の外で鳴っているように錯覚してしまい、
逆にノイズがあまり気にならず、
古いLPでも安心して聞くことができました。
高域特性が優れていると、
ノイズが増幅されて聞こえるのかと思っていたら、
結果は逆でした。
あとはカートリッジとフォノイコライザーの問題ですね。
小生は残念ながらモノラル用カートリッジを持っていないため、
今回はDENON DL-103という、
普及型ステレオMCカートリッジで聞きました。
幸い、フランス盤モノラルLPのように、
ステレオ用カートリッジで聞いても、
サーフェスノイズが大きく付きまというということはありませんでした。
このフルトヴェングラーの1938年「悲愴」も、
当時のドイツにおける録音技術の高さから、
1938年という年代を考えると、
非常に優れた録音です。
ソヴィエトではフルトヴェングラーは意外にも人気が高かったようで、
SPのLP化や、
ドイツの敗戦で接収したテープからの復刻も、
さまざまにされているようです。
GOSTナンバー1961のレコードですが、
GALAN 9はこのモノラル音源を、
しっかりと満足できる音で再現してくれました。
【GALAN 9のスペック】
形式:2ウェイ バスレフ
出力:80/140 W
周波数特性:36…65.000 Hz
クロスオーバー周波数:2900 Hz
能率:85 dB
インピーダンス:4Ω
トゥイーター:quadral quSENSE アルミニウム リボン
ウーファー:155mm quadral ALTIMA
寸法(w x h x d):33 x 21 x 29 cm
重量:10 kg/1台
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