QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その10
カラヤンが亡くなって既に28年が経つのですね。
小生の子供のころから、
おじさんになってもしばらくの間、
カラヤンは現役でしたので、
なんだかつい最近亡くなったような気がしてなりません。
カラヤンのセッション録音は、
膨大なレコーディング数ですが、
賛否両論ありながらも、
そのどれもが話題になるという凄い指揮者でした。
でも、もう亡くなって四半世紀以上...。
今、28歳以下の人たちは、
カラヤンが亡くなって以後、
この世に生を受けているんですね。
「カラヤンなんて知らないよ」という音楽ファンは、
これからもっと多くなってゆくんでしょうね。
今回は、
ヘルベルト・フォン・カラヤン指揮ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の、
1964年録音のブラームス/交響曲第3番です。
このところ、
カラヤンの1960年代の録音が気になりはじめ、
あれこれ買っては聞いています。
特にブラームス/交響曲第3番は、
初めて買った同曲のレコードが、
1964年、カラヤンのベルリン・フィルと録音したDGのレコードでしたから、
懐かしさもひとしおです。
カラヤンの同曲の録音はDG盤を聞いた後、
遡って1961年ウィーン・フィルとのDECCA盤、
2回目の全集となる1977年から1978年にかけての録音、
3回目の全集となった1988年カラヤン晩年の録音まで聞いているのですが、
どういうわけか1964年の録音が好きで、
なんでだろう?と思っていました。
ベートーヴェン/交響曲全集も同じで、
1960年代の古いDG盤がカラヤンの同全集の録音では、
一番好きだったりします。
改めて気が付いたのは、
レコーディングプロデューサーの存在です。
1964年のDG盤レコーディングプロデューサーはオットー・ゲルデスです。
ゲルデスは1969年まで、
カラヤンのDG盤のレコーディングプロデューサーを務めていましたが、
元々指揮者であったゲルデスはプロデュサーから指揮者に再転向、
数枚のレコードをDGに残しました。
カラヤンは1969年から1970年当時、
EMIとの関係が密になり、
1970年以降はEMIへの録音が増えてゆきますので、
ゲルデスの指揮者再転向と何か関係があったのかもしれません。
プロデューサーの存在は非常に重要で、
その存在の印象を決定づけたEMIのウォルター・レッグ、
DECCAのジョン・カルショー、
CBSのジョン・マックルーアなど、
錚々たる名前がすぐに出てきます。
DGのオットー・ゲルデスもそのひとりでしょう。
これらの人が関わった録音は、
その音作りや優秀さで一味も二味も違います。
プロデューサーを目的に、
いろいろな演奏録音を収集しているマニアもいるほどです。
現在でもプロデューサーの存在は極めて重要で、
最近のプロデューサーは黒子に徹している場合が多いので目立ちませんが、
プロデューサーの意向で指揮者の音楽づくりが変わったりします。
前置きが長くなりましたが、
早速1964年録音のブラームス/交響曲第3番をSEDAN 9で聞いてみました。
手元に1964年のブラームス/交響曲第3番のCDが2種類あります。
「The BEST100」というシリーズに含まれている国内廉価盤と、
韓国でカラヤンボックスがリリースされ、
その中に含まれていた1枚です。
韓国のカラヤンボックスは、
バラして中古を売っている人がいて、
小生はボックス全部は購入していないのですが、
ブラームスだけ交響曲全集を中古で購入しました。
「The BEST100」と少し音の傾向が異なり、
韓国盤は太い音がします。
けっこういい音でリマスタリングされているのですが、
「BEST100」シリーズは廉価盤ながら繊細で、
そのダイナミックレンジに何だか昔のLPを思い出してしまい、
廉価盤を聞いてみました。
SEDAN 9で一聴、
年代を感じさせない素晴らしい音です。
1964年頃は既にステレオが定着、
ステレオ録音の恩恵をリスナーに届けようとしたような録音で、
オーケストラの音が左右いっぱいに拡がります。
なにより、カラヤンの音作りを、
ゲルデスが非常によく理解していたのか、
なめらかながらスケール感が大きく、
Fレンジも広く感じ、
低音の処理も見事です。
録音場所は、
ベルリンのダーレム、イエス・キリスト教会で、
残響音が非常にうまく処理してあり、
豊かではあっても、
教会での演奏録音だという、
あざといともいえる違和感はあまりありません
(ベートーヴェンはけっこう残響音がありますが)。
後年、カラヤンのマーラー/交響曲第5番の1973年の録音も、
イエス・キリスト教会での録音でしたが、
プロデューサーが変わったためか、
その教会の残響音の処理に、
もろに失敗しているようなところがあり、
多少の聞きにくさは否めません。
マーラー/交響曲第5番の録音以降、
カラヤンのセッション録音は、
1963年に第2次大戦の空襲で破壊されたフィルハーモニー・ザールが再建され、
録音場所も変わってゆきました。
フィルハーモニー・ザールが再建されても、
しばらくはイエス・キリスト教会が録音に使われていたわけですね。
SEDAN 9は新しいスピーカーですが、
古いレコードの音が忘れられない小生のようなオヤジにも、
満足させてくれる音で、
カラヤンのブラームス/交響曲第3番を聞かせてくれました
(LPとCDは全然別のメディアと考えていますが)。
カラヤンという指揮者は、
いろいろと批判はありますが、
楽曲によっては、
やはり稀有で偉大な指揮者だったんだなぁ...ということを、
改めて感じさせてくれました。
なお、販売はブラックになります。
SEDAN 9
型式:2ウェイ バスレフ型 ブックシェルフスピーカー
定格出力:120W
ミュージックパワー:180W
再生周波数帯域:33Hz~65,000 Hz
クロスオーバー周波数:2800 Hz
能率 (dB/1W/1m):85 dB
インピーダンス:8 Ω
ツイーター:quadral quSENSE® リボン型
ウーハー:180 mm φ quadral ALTIMA®
レベルコントロール:トゥイーター±2dB
外形寸法 (高さx幅x奥行):39 x 23 x 35 cm
重量:14.5 kg(1本)
価格:570,000円(税別・ペア)
なお、SEDAN 9(ブラック)は入荷しております。
全国のQUADRALを扱っていただいている、
オーディオ専門店でご注文可能です。
ぜひ専門店でご注文ください。
ただ、近くにオーディオ専門店がない、
あるいはネットショップなどでアカウントがない、
という方は、以下からご注文可能です。
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