QUADRAL RHODIUM200 試聴記 その2
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RHODIUM200, CLASSIC, 試聴記, QUADRAL
毎度おなじみ、試聴には必ず使う、
ハンス・クナッパーツブッシュとウィーン・フィルによる、
DECCA盤ワーグナー/「ワルキューレ」第1幕を聞きました。
RHODIUM200は小型のブックシェルフながら、
やや低めの重心が幸いして、
さらに解像度も高いことから、
古いDECCA録音のゴリゴリ感がよく出ています。
前奏曲のゴリゴリ感を実感できるスピーカーがなかなか少ないだけに、
これは貴重です。
音場もしっかり左右に広がり、
家庭のニアフィールドで聞くには全く不満のない音です。
各楽器の音がしっかり分離して聞こえる高解像度ながら、
低音から高音までのつながりが見事で、
どこにも突出感がなく、
安心して聞けます。
歌手が出てからはAURUMシリーズの、
のけぞるような生々しさは少し後退していますが、
近い位置のスピーカーでの聴取では、
AURUMシリーズに比べて解像度はやや低いものの、
同価格帯の他メーカーのスピーカーに比べても解像度は充分で、
むしろ自然に聞こえ、不満はありません。
フラグスタートの歌声の深々とした魅力は堪りません。
同じCDを、
CDプレーヤーを変えて聞いてみました。
PIONEER PD-T06よりも、
Accuphase DP-70の方が相性がよいようで、
前奏曲でティンパニーと管楽器が被る個所なども、
ちゃんと別々の楽器が鳴っているということが分かります。
解像度の悪いスピーカーでは、
一緒くたになって聞こえます。
弦楽器がほどほどに分離しながら、
ちゃんとバランスよく聞かせてくれるところは、
廉価ながら(それでも高いけど^^;)、
さすがドイツのスピーカーだな、と納得しました。
このあいまいさのない音は、
音楽を雰囲気だけで聞きたくない方にはぴったりでしょう。
モニタースピーカーならその通りの音がしますが、
平面的なのは否めないところで、
音楽を聴くのには楽しめない...という方には
RHODIUM200はお勧めできます。
フラグスタートやスヴァンホルムの歌声が、
より深く聞こえます。
それでいて高域が不足だという印象はありません。
きれいに倍音が乗っていることも、
ポイントが高いです。
フンディングが出るあたりの管弦楽はさすがに凄いですし、
ファン・ミルのバスも迫力があります。
毎度の「ワルキューレ」第1幕を聞いて、
このスピーカー、欲しくなってしまいました。
次に聞いたのは、
アルフレート・ブレンデルのピアノ、
クラウディオ・アバド指揮ロンドン交響楽団の
PHILIPS盤シューマン/ピアノ協奏曲です。
アナログ期最後の方の録音で、
PHILIPSの当時の録音技術の優秀さを堪能できます。
素晴らしい音です。
ピアノの音色の細かなところまでを再現、
さらにオーケストラの深々とした音の再現まで、
見事な録音だと思います。
RHODIUM200ではそのロマンティックな音楽が、
辛口のワインを飲んでいるような、
明確な音として聞こえてきます。
湿気の少ない爽やかさ、ともいえる音です。
フィルアップされているウェーバーの
ピアノと管弦楽のためのコンツェルトシュテックも、
その音楽の魅力ともども、
世の中の喧騒を忘れて聞き入ってしまいました。
小生はガーシュウィンを聞く機会はあまりありませんが、
ユージン・オーマンディ指揮フィラデルフィア管弦楽団、
CBS/SONYの廉価盤LPを引っ張り出して聞いてみました。
当時の1300円盤です。
RIAAカーブでは大人しく聞こえるLPですが、
Columbiaカーブでの再生です。
RHODIUM200で聞くと、こりゃ凄い!
RHODIUM200でなくともすごい音がするとは思いますが、
再生しているのが廉価盤だということが信じられなくらいの音がします。
「パリのアメリカ人」、「ラプソディ・イン・ブルー」の、
真骨頂を聞かせてくれるような、
オーケストラの音、録音になっています。
LP時代、小生などはこの廉価盤シリーズを馬鹿にしていました。
「音、悪い」なんて。
少しハイ上がりで強奏で音が混濁し、
あまり、いいイメージがありませんでした。
むしろ、オーマンディの演奏録音でも、
同シリーズを敬遠してレコードを購入していたようなところがあります。
ところが今回、このシリーズの凄さを知ることになってしまいました。
むろん、当時はイコライザーカーブを切り替える...
なんてことは思いもよらなかったからですが、
こういう凄い音を聞いてしまうと、
今まで聞いてきた音は何だったんだろう?
と、目から鱗が落ちる気持ちと同時に、
反省させられることになりました。
後悔も混じっています。
ああ、処分してしまったLPたちよ...。
いろいろな再生方法で、
いろいろなCDやLPを聞く...
「これが正道」と言えるものがないところが、
オーディオで音楽を聞く面白さかもしれません。
kna_baka_syuzo
【製品概要】
小さな筐体に驚愕のサウンド
RHODIUM(ロディウム)200は、そのコンパクトな価格・筐体からは信じられないサウンドを提供します。
周波数特性は38000Hzまでを確保、ハイレゾやSACDの繊細な音や倍音を豊かに再生、低域もバランスよく再現します。
ドイツの名門オーディオメーカー”クアドラル”が誇る技術とノウハウが惜しげもなく投入されたRHODIUM200は同社の入門機でありながら高度な音楽再生能力を持った、未来志向のブックシェルフ・スピーカーです。
【スペック】
RHODIUM 200(ロディウム 200)
形式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ
連絡許容入力(W):60W
最大許容入力(W):90W
周波数特性(Hz):40~38,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):2,100Hz
インピーダンス(Ω):4Ω
ユニット構成:Tweeter: φ25mm Aluドーム型トゥイーター
Woofer: φ135mm Titanium-PP
サイズ(W+H+D)cm:15.5cm x 29.4cm x 25.7cm
重量(kg)/台:5.1kg/1台
背面:ゴール度コンタクトシングル・ターミナル
仕上げ:マットブラック
価格:98000円(税抜ペア)
こちらからもご購入可能です。
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