*

QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その4

公開日: : 試聴記, CLASSIC, QUADRAL, ASCENT20LE

今回は2016年6月録音、
グスタボ・ヒメノ指揮ルクセンブルク・フィルハーモニーの、
ブルックナー/交響曲第1番(ウィーン稿)を、
ASCENT20LEで試聴しました。
ヒメノはスペイン出身の、
録音では新人ともいえる指揮者で、
まだ知名度はそれほどではありません。

今回のブルックナー/交響曲第1番はSACDハイブリッドです。
店長はいまだにSACDプレーヤーを持っていない...
という前時代人ですので(^^;、
SACDであっても、通常のCDフォーマットでの試聴です。

ブルックナー/交響曲第1番は、
凡庸な指揮で聞くと、
あまり面白い楽曲とは言えないのですが、
楽曲をうまく料理してくれる指揮者で聞くと、
ブルックナーの魅力の原点が詰まっている、
非常に面白い音楽に聞こえるから不思議です。
たぶん、交響曲全集に発展させようとする録音では、
中期から後期の交響曲に力が入ってしまい、
第1番は「おまけ」的な意味合いで録音されてしまうからかもしれません。
また、ブルックナーの初期交響曲は、
それほど劇的な効果が大きいということはありませんので、
なおさらそのことが言えるのかもしれません。
ヒメノが使用したウィーン稿ではかなり改善されているとはいえ、
スコアを見ても、
「これが本当に効果的な交響曲として響くんだろうか?」
と危惧してしまうほどです。

その点、
ヒメノは自身のフルオーケストラの録音デビューともいえる新録音に、
ショスタコーヴィチ/交響曲第1番と、
この、ブルックナー/交響曲第1番を選択したということに、
大きな気概のようなものが感じられます。
ヒメノにはこの前、
チェロの伴奏録音と、
マーラー/交響曲第9番の室内オーケストラによる録音があります。

ブルックナー/交響曲第1番を初めて聞いた時、
その瑞々しい演奏と、
CDレイヤーながら録音された音に、
思わず嬉しくなってしまいました。
ASCENT20LEという小型ブックシェルフでも、
左右にオーケストラの音が自然にが拡がり、
また、大型のフロア型スピーカーとまでは行きませんが、
上下の音像も感じられます。
なにより、マスタリングされた音が極めて自然で、
2チャンネルながら、
柔らかで豊かな、
録音会場にいるような音の広がりを体験することができます。

演奏も優れているため、
第1楽章から目の前が開けてゆくようで、
ブルックナーとしては他の交響曲よりも小振りながら、
充実したスケール感があります。
第2楽章「アダージョ」も美しいですが、
第3楽章「スケルツォ」は、
ブルックナーの初期作品ではあっても、
その楽しさ、美しさをASECNT20LEで十分聞き取ることができます。
このCDには、交響曲第1番の他にも、
行進曲ニ短調と3つの小品という、ブルックナー初期の楽曲が含まれています。
これが意外と楽しく、ブルックナーの別の面が聞けます。

これだけしっかりとした音で聞けると、
ヒメノの他の録音も気になりますね。
次はラヴェルだそうです(^^)。


ASCENT20LE
【スペック】
ASCENT 20LE (アセント20LE)
型式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ型入力:定格60W/最大90W周波数特性(Hz):40~46,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):2.700Hz
能率(dB/1W/1m):86dB
インピーダンス(Ω):4~8Ω
ユニット構成:Tweeter φ25mmAluドーム型トゥイーター
Woofer φ135mm Titanium-PP
サイズ:H30.9cm×W17.7cm×D27.0cm
重量(kg)1台:5.15kg
ターミナル:ゴールドコンタクト シングル・ターミナル
価格:ペア 138,000円(税別)
仕上げ:マットブラック

kna_baka_syuzo

関連記事

QUADRAL RHODIUM200 試聴記 その2

毎度おなじみ、試聴には必ず使う、 ハンス・クナッパーツブッシュとウィーン・フィルによる

記事を読む

QUADRAL GALAN 9 試聴記 その7

GALAN 9の試聴、 少し趣向を変えてLPを聞いてみました。 フルトヴェングラーのSP

記事を読む

QUADRAL RHODIUM200 試聴記 その4 一家に1台パラメトリックイコライザー

今、以前なら考えられなかったことをいろいろ実験中です。 あらいぐま堂のブログと一部内容がダ

記事を読む

QUADRAL GALAN 9 試聴記 その1

QUADRAL AURUMシリーズの一番小さなスピーカー、 GALAN 9を自宅で試聴する

記事を読む

QUADRAL GALAN 9 試聴記 その10

フランスのCharlin(シャルラン)というレーベルは、 名レコーディングエンジニア、

記事を読む

QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その1

今回から、 QUADRALのハイエンド・ブックシェルフ型スピーカー、 AURUM SED

記事を読む

QUADRAL SIGNUM20 試聴記その3

このところLPを聞くことが多くなってしまった小生ですが、CDでの優秀録音を一つ思い出しました。 パ

記事を読む

QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その13

シベリウスは、 交響詩「フィンランディア」、 交響曲第2番、 ヴァイオリン協奏曲がやた

記事を読む

QUADRAL ASCENT20LE 試聴記その2

ASCENT20LEが我が家にやってきて、 試聴を開始したのですが、 最初は置き方が悪か

記事を読む

オーディオセッション イン大阪2017 無事終了しました 

オーディオセッションin大阪が無事終了いたしました。 多くの方々に参考出品のAURUM MON

記事を読む

SONIC IMPACT TGTS01復活試聴記その5

今回はクラシックのオーケストラに戻して、スタンリー・ブラック指揮ロ

オーディセッション大阪2022

2022年11月5と6日、大阪心斎橋ハートンホテルで「オーディオ

SONIC IMPACT TGTS01復活試聴記その4

  小生がTGTS01を使い始めることに、最初は不安がなかった

SONIC IMPACT TGTS01復活試聴記その3

  オーケストラ、ポップスと続きましたので、次はクラシックでピアノ

SONIC IMPACT TGTS01 復活試聴記その2

TGTS01復活試聴記その2は、カーペンターズの"The Sing

→もっと見る

  • 住所
    〒557-0045
    大阪府大阪市西成区玉出西2-16-3
    ネットワークジャパン株式会社


PAGE TOP ↑