QUADRAL GALAN 9 試聴記 その11
フランスには、
器楽曲や室内楽に優れた録音がたくさんあります。
今回のアルバムは、
フランスのロザムンデ弦楽四重奏団による、
ラヴェルとフォーレの弦楽四重奏曲です。
小生が聞く中では比較的新しい方で(^^;、
1999年2月の録音です。
レコーディングエンジニアはPierre Verany(ピエール・ヴェラニー)、
ワンポイントステレオマイクから、
直接24bit NAGRA DIGITALに録音された、
非常に優れた音を聞くことができます。
Pierre Veranyのレーベルの後、
Arionからディストリビュートされ発売されていましたが、
Pierre Verany、Arionとも現在廃盤で、
少し入手しにくいようです。
演奏のロザムンデ弦楽四重奏団は、
ドイツにも同じ名前の弦楽四重奏団がありますが、
ここで聞けるのはフランスの団体です。
日本ではあまり知られていませんが、
非常に優れた弦楽四重奏団です。
GALAN 9で一聴、
ラヴェルの弦楽四重奏曲から、
粒立ちがよいというか、
非常に微細な泡が立っているようで、
ビロードの感触とはまた異なる、
気持ちの良い音を聞くことができます。
GALAN 9は、それほど大きなスピーカーではありませんが、
弦楽四重奏ではバランスが非常によく、
優れた録音であることが分かります。
そのスケールの大きな鳴りっぷりは、
スピーカーのサイズをはるかに超えています。
第1楽章からラヴェルの語法が際立って聞こえ、
第2楽章では、
ラヴェルの他の楽曲(例えば「ダフニスとクロエ」)のメロディが
聞こえてきたりします。
第3楽章ではPierre Veranyの音と、
GALAN 9の優れた再現性がうまく合致し、
夢見るような音楽を聞くことができます。
チェロの深い音も余裕をもって細部まで再現できています。
あれ?今の箇所はドビュッシー/「海」の引用じゃ?
なんてこともしっかり聞き取れます。
第4楽章開始は最も現代音楽的な響きですが、
それから第1楽章の引用に戻り、
ハッとするような美しい楽句が連なってゆきます。
ダイナミックレンジの幅がかなりありますが、
音の暴れはなく、
明晰な音で最後まで聞かせてくれます。
フォーレの弦楽四重奏曲は、
フォーレ最晩年の作品で、
哀しさと、諦念と、
古き日の良き思い出がいっぱいに詰まった楽曲です。
ただ、音楽としては地味ですので、
フォーレの他の楽曲ほど一般的ではないかもしれません。
GALAN 9で聞くと、
細部まで立体感をもって聞こえてきますので、
あいまいな箇所がなく、
フォーレの持つ、
暗い音楽であっても、
フランス印象派の絵画のような、
細部のどこまでも淡い光が当たっていると感じる音楽が、
見事に再現されてゆきます。
第2楽章の綾のような音楽では、
それぞれの楽器が分離良く、
それでもバラバラにではなく、
気持ちのよいハーモニーになっているのは、
とても素敵です。
ラヴェルとフォーレの弦楽四重奏曲をGALAN 9で聞くと、
豊かな夢が、
あいまいさのない像として結実しているようで、
幸福な時間が得られたのでした。
【GALAN 9のスペック】
形式:2ウェイ バスレフ
出力:80/140 W
周波数特性:36…65.000 Hz
クロスオーバー周波数:2900 Hz
能率:85 dB
インピーダンス:4Ω
トゥイーター:quadral quSENSE アルミニウム リボン
ウーファー:155mm quadral ALTIMA
寸法(w x h x d):33 x 21 x 29 cm
重量:10 kg/1台
kna_baka_syuzo
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