QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その8
今回は日本での録音を2つ。
2つともあまり一般的なCDではなく、
ひとつは自主制作盤、
もう一つは元の発売会社がなくなってしまい、
廃盤になって、
他のマイナーな会社から出ている(かも知れない)CDです。
まず、
北海道出身のピアニスト、
安田里沙さんによる、
「リストへのオマージュ」と題されたCDです。
2014年、北海道札幌でのセッション録音で、
なんと、
この素敵なCDは自主制作盤です。
facebookのお友達からこのCDの発売を知りました。
このCDの入手時、
何度も小さなボリュームでBGM的に聞いていたのですが、
ある時、STAXのイヤースピーカーで、
かなりの音量で聞いてみたら、
演奏の優秀さ、録音の優秀さに改めて気付き、
最近のピアノ録音では、
大のお気に入りになってしまいました。
安田里沙さんのピアノは、
もの凄くまじめで安心して聞ける反面、
ハンガリー狂詩曲第2番を目をつぶって聞いていると、
安田里沙さんの楽興の趣くまま、
一緒に夢中になって音楽を楽しむことができる、
はっちゃけた部分も聞くことができます。
最初の「ラ・カンパネラ」は、
フジ子ヘミングの大ヒットからあれこれ聞いてきましたが、
安田里沙さんの「ラ・カンパネラ」は、
安心して聞くことができることでは、
最右翼の演奏の一つです。
巡礼の年第1年より「オーベルマンの谷」も、
非常に素晴らしい演奏録音です。
ピアノはスタンウェイ D-247だそうで、
大雪クリスタルホールでの録音です。
ホールトーンはあまり聞こえませんが、
ピアノの音が極めて大切に録られた録音で、
聞き込むと、その美しい響きに魅了されます。
SEDAN 9は周波数の上から下まで、
非常につながりがよく、
この美しいピアノの響きを堪能させてくれます。
また、マスタリングも非常に自然で、
化粧の跡を感じさせません。
高性能マイクが拾った音を、
そのまま聞かせてもらっているかのような印象です。
この録音のエンジニアの方は、
大変いい耳を持っておられるようです。
安田里沙さんのCDは、
一般のCDショップでは販売されていません。
でも、
安田里沙さんのオフィシャルページ、
もしくはamazonで入手が可能です。
この優れたCDが、
ひとりでも多くの音楽ファン、
オーディオファンの手に届きますように...。
もう1枚は、
ソプラノの雨谷麻世さんの、
「美しき詩情」と題された、
日本の唱歌などを収録したCDです。
マルPは2005年ですので、
少し前の録音です。
このCDは、
実は、ハープの西山まりえさんを目当てで偶然購入しました。
西山まりえさんの爪弾くハープで、
日本の現代音楽のCDが出ていますので欲しかったのですが、
そちらは廃盤売り切れで入手できず、
ネットを彷徨っているときに、
偶然、中古でこのCDを見つけました。
伴奏のハープは西山まりえさんです。
声楽に疎い小生は雨谷麻世さんという名前も知らず、
ダメ元で購入したCDです。
これはごく最近の話ですから、
SEDAN 9の試聴機が我が家にやってきたあとに購入したCDです。
最初に何気なくSEDAN 9で聞き始めたら、
あまりの録音の優秀さに、
椅子からずり落ちそうになりました。
これはとんでもない録音です。
ハープの西山まりえさんが部屋のすぐそこにたたずみ、
雨谷麻世さんの歌声(最初は「夏の思い出」です)が聞こえると、
すこしリバーブはかかっていますが、
まるで、
ほんのすぐそばで歌っているかのような生々しさなのです。
あるいは、スタジオか小さなライヴハウスの近くの席で聞いている、
と言い換えてもいいかもしれません。
そのお二人の肉体(いやらしい意味ではなく)というか、
手を伸ばせば触ることができるような、
そういう録音です。
雨谷麻世さんの歌は大人の歌で、
しみじみと情感豊かに日本の唱歌を歌い上げてゆきます。
クラシックというよりクロスオーバー的な歌い方です。
可愛らしさとか素朴とか清浄という言葉とは少し違いますが、
ゆったりと見事に歌われてゆく日本の歌の数々は見事です。
雨谷麻世さんの日本語も非常に美しく、
崩した箇所がないため安心して聞くことができます。
西山まりえさんのハープは、
アレンジが少し、
西洋クラシック音楽や民族音楽を意識し過ぎのようなところもありますが、
雨谷麻世さんの歌に寄り添うような箇所では、
親密な空気を醸し出しています。
特に、
途中でバロックハープから中世ゴシックハープに楽器を変え、
ヨーロッパの楽器なのに凡アジア的ともいえるその音色は、
極めて魅力です。
雨谷麻世さんのこのCDはJBL4312でも聞きましたが、
SEDAN 9の再現力に改めて驚かされることになりました。
ニアフィールで聞いているからか、
その歌声は確かなボディを伴って聞こえてきます。
「美しき詩情」は東芝EMIから出ていましたが、
レコード会社自体が消滅、
「EMI Records Japan」として活動しているはずなのですが、
本家EMIはすでにワーナーに吸収されましたので、
どんな活動をしているのか分かりません。
当然、「美しき詩情」も廃盤、
amazonやヤフオクの中古でたまに出てきますが、
もったいない話です。
雨谷麻世さんのオフィシャルページでは、
まだ注文ができるかもしれませんが、未確認です。
雨谷麻世さんのオフィシャルページ
なお、販売はブラックになります。
SEDAN 9
型式:2ウェイ バスレフ型 ブックシェルフスピーカー
定格出力:120W
ミュージックパワー:180W
再生周波数帯域:33Hz~65,000 Hz
クロスオーバー周波数:2800 Hz
能率 (dB/1W/1m):85 dB
インピーダンス:8 Ω
ツイーター:quadral quSENSE® リボン型
ウーハー:180 mm φ quadral ALTIMA®
レベルコントロール:トゥイーター±2dB
外形寸法 (高さx幅x奥行):39 x 23 x 35 cm
重量:14.5 kg(1本)
価格:570,000円(税別・ペア)
なお、SEDAN 9(ブラック)は入荷しております。
全国のQUADRALを扱っていただいている、
オーディオ専門店でご注文可能です。
ぜひ専門店でご注文ください。
ただ、近くにオーディオ専門店がない、
あるいはネットショップなどでアカウントがない、
という方は、以下からご注文可能です。
SEDAN 9
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