TGTS01 試聴記 その3
公開日:
:
最終更新日:2020/08/26
試聴記, CLASSIC, SOUND MAGIC
LP時代、
プリアンプやプリメインアンプのほとんどには、
トーンコントロールが付いていました。
CD時代になって、
CDにはデジタルで正確な音が入っているということからか、
段々とトーンコントロールが付いたアンプは少なくなりました。
ピュアオーディオ志向とでもいうのでしょうか。
CDだけではなく、
マニアにはSACDやハイレゾが浸透してきている昨今、
その傾向はさらに強まっているんでしょうか?
LP時代でも、
トーンコントロールはニュートラルな位置で聞くべき...
という風潮があり、
小生も長い間そう思っていました。
ピュアオーディオの世界では、
トーンコントロールは「悪」というような...。
でも、オーディオ評論家の故長岡鉄男氏や故江川三郎氏、
そのほかの方々にも、
「トーンコントロールは積極的に使うべし」
という意見が少なからずありました。
トーンコントロールは、
オーディオ機材によって、
高域不足や低域不足を補うという意味があったと思いますが、
もうひとつ、
LP時代にはイコライジングカーブの問題があり、
RIAAカーブではないものは、
トーンコントロールで補正して聞くべき...
という意味の方が実は大きかったのではないかと、
今さらながらに考えています。
最近、
小生はカーブ可変式フォノイコライザーを導入していますので、
自分の機器で「これが聞きやすいんではないか」というカーブを選ぶと、
一発でLPの音が聞きやすくなることから、
積極的にイコライジングカーブを変えて聞くようになっています。
さらに4mm+4mm厚の合わせガラスターンテーブルシートの威力は凄まじく、
LPの最初から最後までリニアな音で聞けてしまっています。
今日はまず、
カール・ベーム指揮
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団その他の、
モーツァルト:レクイエム
DG国内盤も家にあるはずですが、
今回はDGのフランスプレスのLPを聞いてみました。
国内盤LPはどこに仕舞ったのか見つかりません(^^;。
大規模合唱を含む楽曲は再生が難しく、
大規模合唱を含む楽曲と言えばベートーヴェン:交響曲第9番など、
CDになって初めて安心して聞くことできた...
という経験が少なくありません。
ベームのモーツァルト:レクイエムはそれこそ定盤中の定盤で、
古楽器による演奏録音が主流になった今でも、
同曲のベストレコーディングに推している方が数多くおられます。
テンポが遅く、合唱が渦を巻くような演奏録音です。
今回はNABカーブで試聴しました。
4mm+4mm厚の合わせガラスターンテーブルシートで聞くと、
チャンネルセパレーションがしっかりとして、
合唱がダンゴにならずに各声部がちゃんと分離して聞こえます。
A面最後の「ラクリモーサ」で音が歪んでしまった記憶がありますが、
今回は歪むことなく、
A面が終わる...ということを全く意識しないで聞いてしまいました。
モーツァルトの他の楽曲同様、
レクイエムもいろいろな演奏が可能ですが、
ベームによるレクイエム、
これはやっぱり同曲の演奏録音では名盤中の名盤ですね。
今となっては、
モーツァルトにしては透明性に欠ける気もしますが、
その演奏は極めて感動的です。
楽曲の後半、
モーツァルトの早すぎる死によって作曲は中断されてしまいましたが、
弟子のジェスマイヤー補筆版が、
いろいろ言われながらも、
やはりモーツァルトと同じ空気を吸っていたからか、
さまざまな後年の補筆編曲を聞いてもこれが一番いいかな...、
などと思っています。
次は、
オットー・クレンペラー指揮
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団
シューマン:交響曲第2番 「ゲノヴェーヴァ」序曲
アメリカプレスです。
買った当初、
「やっちまったかなぁ...」
と思っていました。
さえない音で音がくぐもったように聞こえてしまい、
分離もよくありません。
アメリカプレスだから仕方ないのかなぁ...と思っていました。
ところが今回、
4mm+4mm厚ガラスターンテーブルシートに載せ、
BAKOON PRODUCTS CAP-1004でColumbiaカーブにすると、
LP1枚を全部通して聞き惚れてしまうほど、
その透明度と分離が良くなりました。
クレンペラーの演奏録音は、
第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンが両翼配置であること、
木管楽器がしっかり聞こえるよう、
弦楽器や金管楽器とのバランスが非常によく考えられていることなど、
シューマンのいろいろな楽器を重ねたオーケストレーションが、
即物的でドイツ的な響きながら、
かなりの透明感を持って聞くことができます。
クレンペラーのLPは他にもいろいろあるので、
楽しみが増えました。
次はピアノ曲、
グレン・グールド(p)
ブラームス:間奏曲集
国内盤です。
CBS/SONYのピアノ曲の録音は、
普通の状態でLPを聞くと、
フラストレーションが溜まることが少なくありませんでした。
このグレン・グールドのブラームス:間奏曲集もそうで、
晩年のブラームスの哀愁に、
若き日のグールドが寄り添ったようなところがあり、
LP時代から楽曲・演奏としては大好きな演奏録音でした。
ところが、LPにしてもCDにしても、
その再生音に満足できたことはありませんでした。
逆ピラミッドのような寸胴のような、
低域の薄い、
なんだかおもちゃのピアノを聞いているような音です。
これが残念で、
ブラームス:間奏曲集は他のピアニストによる演奏録音を漁りましたが、
グールドの独特な曲順やフレージングなど、
残念な思いを持ちながらも、
また、グールドの演奏録音に戻ってしまうのでした。
で、今回、
Columbiaカーブかな?
と思っていたら、ちょっと違うようです。
まだ、ピアノのリアリティはありません。
そこでAESカーブにしてみたら...ドンピシャ!
深い低域を含んだピアノのリアリティが感じられます。
4mm+4mm厚ガラスターンテーブルシートでは、
回転やカートリッジのトレースが安定するためか、
A面、B面とも、
スムーズに最後まで聞けてしまい、
針を上げるのが残念なほどでした。
いいですね、グールドのブラームス。
でも、これは小生個人の聞き方の問題ではあります(^^)。
で、さらに気が付いてもう一枚、
同じCBS/SONYの
ルドルフ・ゼルキン(p)
ベートーヴェン:ピアノソナタ集
国内盤LPを聞いてみました。
これも非常に浅い音のするLPだったという記憶があり、
「月光」第1楽章やそのほかの曲でも緩徐楽章で、
原テープの回転ムラのような音の揺れともども、
いい印象はなかったのですが、
AESカーブで聞くと音の厚みがグンと増し、
緩徐楽章で回転ムラはあるものの、
4mm+4mm厚ガラスターンテーブルシートでは
強奏での音の暴れが全くなく、
ゼルキンのザッハリッヒなピアノで、
「月光」「悲愴」「熱情」全部を聞いてしまえたのでした。
CBS/SONYのピアノ曲のLP、
これは魔物ですね(^^;。
普通に聞いたら、
その録音の真価がほとんど分からないという...。
4mm+4mm厚ガラスターンテーブルシートの凄みは、
カートリッジやアームをちゃんと調整してやると、
安定度が増すためか、
最内周に至っても音の暴れがなく、
LPの最初から最後までリニアに聞けてしまうということでしょうか。
これは本来当り前のことのはずなのですが、
通常、LPの再生ではそこまでうまくゆかないことの方が多いでしょうね。
小生もいろいろ試したのですが、
ターンテーブルシート一発でこれだけ変わるとは思ってもみなかった、
というのが正直なところです。
どういうシステムで聞いているかはTGTS01 試聴記 その1に。
商品の紹介はこちら
kna_baka@syuzo
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