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QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その9

公開日: : 試聴記, CLASSIC, QUADRAL, SEDAN 9

アンプをAccuphase E-306Vから、
LUXMAN L-540に変えてみました。
本当はL-540ではなく、
上位機種のL-570が欲しかったのですが、
当時価格が自分には高くてL-540で我慢しました。
どちらかというと、
オーディオマニアの選択というより、
安価に音楽を聞きたいファンの選択ですね(^^;。
小生の場合、
LPやCDに予算が回ってしまい、
なかなか機材を買えないという音楽ファンの姿そのままです。

L-540は往年のラックストーン健在で、
実は、
今までつないでいた初代JBL4312と相性が悪く、
L-540の特性が逆に働いてしまっていました。
柔らかい音は良いのですが、
音が前に出てこず、
少しフラストレーションがたまっていました。
今回、リビングとパソコン部屋のアンプを入れ変え、
試聴と相成りました。
繋ぐ機材といろいろな作業の関係で、
今までのセッティングだったのですが、
見直して正解だったようです。

SEDAN 9とL-540の相性はかなりいいです。
JBL4312とでは、
ラックストーンの柔らかさがマイナスになってしまっていたのですが、
SEDAN 9では非常にうまく中和され、
特にオーケストラなどでは厚みが増し、
「機材を入れ替えて正解」と思える現在の結果です。
色々機材を入れ替えるのも面白いですね。
逆に、今、AccuphaseのアンプをJBL4312に繋いでいますが、
LUXMANでは少し重い方向で音が前に出なかったJBL4312が、
嬉々として鳴っています。


LUXMAN L-540とSEDAN 9をつないで最初に聞いたのは、
最近リリースされたWEITBLICKというレーベルからリリースされた、
オットー・クレンペラー指揮WDR交響楽団(ケルン放送交響楽団)の、
1966年の放送用録音です。
オール・ベートーヴェン・プログラムの2枚組でステレオ録音です。
Accuphaseで最初聞いたのですが、
少し埃っぽい録音のため、
全体に少しガシャガシャした感じで、
イマイチこの貴重な放送用録音を楽しめませんでした。
ところが、LUXMAN L-540に変えると、
ラックストーンの恩恵か、
そのガシャガシャ感が軽減され、
SEDAN 9で非常に落ち着いた音を楽しめています。
放送録音のためか、
客席にほとんど人がいなかったようで、
ホールトーンがライヴ録音よりも豊かにしっかりと聞こえ、
最初の「レオノーレ」序曲第3番、
交響曲第4番が素晴らしい迫力で迫ってきます。
クレンペラーの凄さが、
そのまま聞き手に伝わってくるような録音です。
ベートーヴェンの楽曲の持つ力強さ、
あちこちに秘められた優しさ、
そして有無を言わせぬスケールの大きさは、
やはりクレンペラーならではでしょうか。
第5番も大変な名演で、
規範とも呼べる同曲の演奏を大迫力で聞くことができます。


SEDAN 9 試聴記その6で取り上げた、
クナッパーツブッシュの「ポピュラーコンサート」を、
アンプを変えたため再度聞いてみました。
こちらもラックストーンに支えられて、
SEDAN 9の結果は良好、
より暖かめに柔らかく、
クナッパーツブッシュの演奏が聞こえてきます。
チャコフスキー/「くるみ割り人形」組曲の「こんぺい糖の踊り」以下、
クナッパーツブッシュの同曲に込めた愛情が聞こえてきます。
木管の音はより渋く、魅力的です。
「花のワルツ」はこの演奏録音で慣れてしまったせいか、
他の指揮者の演奏では、
なんだか物足らなくなっています。
ニコライ/「ウィンザーの陽気な女房たち」序曲では、
Accuphaseより少し重心が下がったからか、
喜劇の序曲ながら、
冒頭の情景描写の音楽は涙が出るほど美しい響きです。
その落ち着いた響きに郷愁が誘われ、
ドタバタ場面は楽しく、
最後は暖かな音楽から派手などんちゃん騒ぎまで、
素晴らしい音で堪能できました。


もう一種、
古いオーケストラの録音を聞いてみました。
ジョージ・セル指揮クリーヴランド管弦楽団の
ドヴォルザーク/交響曲第7番です。
1960年のセッション録音です。
第8番は後年EMIに再録音しましたが、
第7番と第9番「新世界より」のセッション録音は、
CBS盤(というよりEPIC盤)のみです。

セルの音盤は、
LP時代に国内盤は日本コロンビアからSONYに発売が変わり、
その当時、
セルの録音はベートーヴェンしか聞いたことがありませんでしたが、
音が変わったことを覚えています。
SONY盤は高域にエネルギーが集中したような音で、
あまり好きになれませんでした。
CD時代になって、
セルの音盤は最初の頃、
輸入盤でひどい音のCDしか入手できず、
失望していました。
カナダのOdyssey盤が少しまともな音でCD化しましたが、
CBS SONYにとって、
セルは過去の指揮者になってしまっていたのかもしれません。
そんな古臭い録音、
誰が聞くの?とでもいうような。
その後、
国内盤で見違えるほど音が改良されたCDが発売されました。
輸入盤でもMASTERWORKS HERITAGEシリーズがリリースされ、
良い音でセルを聞けない乾きが、
癒されたようなところがあります。
最近では、
セルの録音がSACDでもリリースされはじめ、
セルの再評価が進むかもしれません。

セルの音楽は厳格で、
遊びが少ないようにも聞こえますが、
演奏の厳格さへ至るセルの考え、
さらに、
その厳格さを実現するためのオーケストラビルディングを考えると、
稀有ともいえる凄い演奏録音が少なくありません。
いわゆる「とりあえずセル」で間に合ってしまう指揮者、
そしてクリーヴランド管弦楽団の精度でした。
ドヴォルザークの後期交響曲集もその一つです。

今回、HERITAGE盤で聞いてみましたが、
SEDAN 9で音が左右いっぱいに気持ちよく広がり、
オーケストラの配置が手に取るようにわかるほどで、
録音年代を考えると分離も非常によく、
奇跡のようなセルの名演が眼前に拡がります。
よく言われることですが、
クリーヴランド管弦楽団の個々の楽器のソノリティの高さも、
充分に感じられます。
少し息苦しいほどのセルの音楽づくり、
巨大な室内楽を聞いているようなオーケストラの合奏精度ですが
(縦の線が揃うのをあまり気にしなかったクナッパーツブッシュと大違い^^;)、
やはり規範のような演奏は、
好悪は別にして、
オーケストラの録音ファンであれば、
一度は耳にしておくべき録音だと思います。

LUXMAN L-540、SEDAN 9で非常に楽しめたCDでした。
本当はセパレートアンプが欲しいところですが...。


なお、販売はブラックになります。
SEDAN 9
型式:2ウェイ バスレフ型 ブックシェルフスピーカー
定格出力:120W
ミュージックパワー:180W
再生周波数帯域:33Hz~65,000 Hz
クロスオーバー周波数:2800 Hz
能率 (dB/1W/1m):85 dB
インピーダンス:8 Ω
ツイーター:quadral quSENSE® リボン型
ウーハー:180 mm φ quadral ALTIMA®
レベルコントロール:トゥイーター±2dB
外形寸法 (高さx幅x奥行):39 x 23 x 35 cm
重量:14.5 kg(1本)
価格:570,000円(税別・ペア)

なお、SEDAN 9(ブラック)は入荷しております。
全国のQUADRALを扱っていただいている、
オーディオ専門店でご注文可能です。
ぜひ専門店でご注文ください。
ただ、近くにオーディオ専門店がない、
あるいはネットショップなどでアカウントがない、
という方は、以下からご注文可能です。
SEDAN 9

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