*

QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その8

公開日: : 最終更新日:2017/08/15 試聴記, CLASSIC, QUADRAL, ASCENT20LE

夏は涼し気な音楽が聴きたくなってしまいますが、
ここは少し暑いともいえる
EMIのオットー・クレンペラー指揮マーラー/「大地の歌」を聞きました。
夏はバイロイト音楽祭の季節ですので、
むしろ、暑い音楽を聞く方が本来の姿かもしれませんね(^^)。
クレンペラーの「大地の歌」は、
1964年から1966年の2年間の間に録音され、
最初のLP発売は1967年です。
小生が今回聴いたのはLPではなくCDで、
イギリスで最初にリリースされたUK盤です。
実は、この録音のCDリリースは日本が先行していましたが、
CD化された音が「あれ?」と、
思うほど違っていたことを覚えています。
このCD化の音は凄いです。
各社が出したSACDは聞いていませんが...。

「凄い」という言葉が続きますが、
このCDは録音、演奏とも、
「凄い」としか言いようがありません。
第1楽章から、
管弦楽の明晰ともいえる音と、
フリッツ・ウンダーリヒの絶唱が聞こえ、
第2楽章冒頭の寂寥感、
クリスタ・ルードウィヒの歌声が迫ってきます。

マーラー/「大地の歌」は昔から大好きで、
LPを買い始めた初期の頃、
高校2年の頃に、
ワルター指揮ウィーン・フィルの2枚組LPが
レコード雑誌で絶賛され、
モノラルながら、
アルバイトで稼いだお金で購入しました。
レコード屋さんでドキドキしながら買ったのを覚えています。
以来、「大地の歌」に目がなく、
あれこれ聞いてきたのですが、
一番大きな影響と感動をいまだに得ているのが、
クレンペラー盤です。
LP時代からの付き合いですから、
長いですね。

つないでいる機材は前にも書きましたが、
PIONEER PD-T06 → ACCUPHASE E-306V → ASCENT20LEの
ロートルオーディオ機器で(^^;、
RCAケーブルはSAECの古いケーブル、
スピーカーケーブルは切り売りのキャブタイヤです。

クレンペラーは木管楽器を際立たせるため、
弦楽器群や金管楽器群のバランスに非常に気を使っていた指揮者ですが、
不思議なことに、
弦楽器群や金管楽器群の音が小さい、
と感じることはあまりありません。
第1楽章から各楽器群と歌手の歌声がそれぞれを主張しながら、
聞き手に確実に迫ってきます。
ステレオの音場感もよいですが、
低域から高域のバランスも非常によく、
「大地の歌」にはトライアングルやマンドリンなどが使われているのですが、
クレンペラー盤ではそれぞれの「おつまみ」ともいえる楽器の音が、
しっかりと聞こえてくるのも魅力です。

ASCENT20LEで、
「ああ、イコライザーがあればなぁ...」とか、
「LPの方が音が良かったかな?」という不満が全くなく、
スピーカーの存在を忘れてこの名録音を堪能できました。
第4楽章の若者が馬を疾走させる音楽の迫力のあること!
中国風メロディは我々日本人が聞くと、
古いチャンバラ映画の伴奏音楽のようですが、
続いてその若者の疾走を眺める若い乙女の眼差しが、
やさしく平和に描かれてゆきます。

それにしてもウンダーリヒの奇数楽章の歌唱、
クリスタ・ルードウィヒの偶数楽章の歌唱は、
表情が豊かで凄いものがありますね。
管弦楽の楽器は華やかであるはずなのに、
最後の第6楽章の寂寥感と心の闇の深さを、
これだけ表現しきった演奏録音は他ではなかなか聞けません。
最後の余韻をもって終わる「永遠に…」では、
琵琶の音(琴かな?)を模したマンドリンの音ともども、
凄いものを聞いたな…という感動を覚えます。
クレンペラーは、
「大地の歌」で一音一音を大切に、
その全てが「聞こえる」ように演奏しました。
しかも、
クレンペラーはスコアに対する即物主義者のはずですが、
音楽の情感や迫力は並ではありません。
即物主義のハードボイルドさを突き抜けた、
楽曲の本質を聞くことができるかのようです。
これは、今でも稀有の演奏録音だと思います。

補足:
オーケストラのクレジットは、
フィルハーモニア管弦楽団とニュー・フィルハーモニア管弦楽団
になっています。
オーケストラのオーナーであった
EMIのプロデューサー:ウォルター・レッグ(レッゲ)がEMIを離れ、
1964年3月、資金難を理由にフィルハーモニア管弦楽団を解散してしまいます。
オーケストラのメンバーがクレンぺラーに指揮者として残ってくれるよう懇願、
ニュー・フィルハーモニア管弦楽団として再出発した頃の「大地の歌」は、
ちょうどその端境期での録音です。
1997年に、ニュー・フィルハーモニア管弦楽団は、
元のフィルハーモニア管弦楽団に名称が戻りました。


ASCENT20LE
【スペック】
ASCENT 20LE (アセント20LE)
型式:2ウェイ
基本デザイン:バスレフ型
入力:定格60W/最大90W
周波数特性(Hz):40~46,000Hz
クロスオーバー周波数(Hz):2.700Hz
能率(dB/1W/1m):86dB
インピーダンス(Ω):4~8Ω
ユニット構成:Tweeter φ25mmAluドーム型トゥイーター
Woofer φ135mm Titanium-PP
サイズ:H30.9cm×W17.7cm×D27.0cm
重量(kg)1台:5.15kg
ターミナル:ゴールドコンタクト シングル・ターミナル
価格:ペア 138,000円(税別)
仕上げ:マットブラック

関連記事

TOKYO AUDIO BASE2019出展後記 1

先週25日、26日東京 御茶ノ水の「ホテルマイステイズ御茶ノ水」にて開催のTOKYO AUDIOBA

記事を読む

クナッパーツブッシュ研究会へ協賛

先日、ドイツの指揮者クナッパーツブッシュ研究会Kna-clubのオフ会「ハンス・クナッパーツブッシュ

記事を読む

AURUM RODAN9試聴記5

RODAN9の前回の試聴では、アコースティックなソースでの試聴をしました。 ですので、今回は趣を変

記事を読む

QUADRAL RHODIUM200 試聴記 その4 一家に1台パラメトリックイコライザー

今、以前なら考えられなかったことをいろいろ実験中です。 あらいぐま堂のブログと一部内容がダ

記事を読む

QUADRAL ASCENT20LE 試聴記 その3

今回はLPで、 アンドレ・プレヴィン指揮ピッツバーグ交響楽団の、 エルガーやハーティが編

記事を読む

QUADRAL GALAN 9 試聴記 その1

QUADRAL AURUMシリーズの一番小さなスピーカー、 GALAN 9を自宅で試聴する

記事を読む

QUADRAL AURUM SEDAN 9 試聴記その6

今回もクナッパーツブッシュの録音、 DECCAのウィーン・フィルとの「ポピュラーコンサート

記事を読む

QUADRAL GALAN 9 試聴記 その10

フランスのCharlin(シャルラン)というレーベルは、 名レコーディングエンジニア、

記事を読む

AURUM RODAN9試聴記2

設置が終わったAURUM RODAN9についてレポートと思いますが、AURUM9シリーズの特徴につい

記事を読む

オーディオセッション イン大阪2017 無事終了しました 

オーディオセッションin大阪が無事終了いたしました。 多くの方々に参考出品のAURUM MON

記事を読む

教会で蓄音機を聞く

11月18日、大阪の船場祭りの一環として行われた、 蓄音機コンサ

レコードを洗う

今、試聴機がないため、 随分久しぶりの投稿になってしまいました。

帰ってきたASCENT20LE試聴記 その6

あちこち中古LPを漁って歩いていると、 思いがけず「へー!」と唸るL

オーディオフェスタ・イン・ナゴヤに参加してきました

2月16日・17日、 名古屋で開催された、 オーディオフェ

TOKYO AUDIO BASE2019出展後記 2

26日のTOKYO AUDIOBASE2019のネットワークジャパンの

→もっと見る

  • 住所
    〒559-0031123
    大阪府大阪市住之江区南港東1-2-16
    ネットワークジャパン株式会社


PAGE TOP ↑