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QUADRAL GALAN 9 試聴記 その12

公開日: : 最終更新日:2017/06/10 試聴記, CLASSIC, QUADRAL, GALAN 9

今回は弦楽四重奏曲でも、かなり古い録音です。
1937年10月7日に録音された、
ブッシュ弦楽四重奏団による演奏録音のSPからの復刻盤です。
ベートーヴェン/弦楽四重奏曲第15番を中心に聴きました。
(フィルアップされている第16番は1933年録音)。
前にも書きましたが、
小生は「優秀録音」といわれる演奏録音よりも、
こういう録音を聞くことの方が多く、
GALAN 9でどういう風に聞こえるか、
非常に気になるところです。

ブッシュ弦楽四重奏団のベートーヴェン/後期弦楽四重奏曲集は、
あちこちのレーベルが復刻していますが、
今回聞いたCDは、
イギリスのBiddulphというレーベルのCDで、
名リマスタリングエンジニア、チャールズ・レヴィンによる復刻です。
Biddulphは往年のSPや、
その他の古い録音を復刻、
大きな信頼を置くこどができるレーベルでした。
その他、新録音もリリースしていました。
でも、最近あまり見かけなくなったと思っていたら、
既に活動を停止、レーベル自体がなくなってしまったようです。

ブッシュ弦楽四重奏団の主宰者、
第1ヴァイオリンのアドルフ・ブッシュはドイツ人です。
名指揮者フリッツ・ブッシュの弟で、
優れたヴァイオリニストでした。
アドルフ・ブッシュの弟、
ヘルマン・ブッシュも優れたチェリストで、
ブッシュ弦楽四重奏団にも参加しています。
兄弟3人とも名前が残っているのは凄いですね。
しかし、家族のようでもあった共演者、
ピアニストのルドルフ・ゼルキンがチェコ生まれのロシア系ユダヤ人であったため、
ナチドイツから逃れてアメリカに移住、
また、アドルフ・ブッシュの奥さんがユダヤ人であったこともあり、
アドルフ・ブッシュもゼルキンの後を追って亡命、
アメリカに渡って活躍しました。
ブッシュ3兄弟は生粋のドイツ人ですが、
揃って反ナチでした。
長兄フリッツ・ブッシュは、
ドレスデン国立歌劇場の指揮者でしたが、
ナチドイツでの演奏活動を嫌い、
アルゼンチンに渡り、
後にイギリスを中心に活躍しました。

ベートーヴェンの弦楽四重奏曲というと、
モノラル期やステレオ期には、
バリリ弦楽四重奏団や
ウィーン・コンツェルトハウス弦楽四重奏団、
アメリカのファイン・アーツ弦楽四重奏団(ステレオ録音もありますが)、
ブダペスト弦楽四重奏団、
スメタナ弦楽四重奏団、
アルバン・ベルク弦楽四重奏団が有名で、
小生も大好きなのですが(その他にもいろいろあります)、
SP期の録音では(復刻盤しか聞いたことがありませんが)、
ロゼ弦楽四重奏団やカペー弦楽四重奏団、
特にベートーヴェンでは
このブッシュ弦楽四重奏団の演奏録音が好きでよく聞きます。
今回取り上げるCDは、
3枚ある後期弦楽四重奏曲シリーズの内の1枚です。

むろんモノラルで、
音の拡がりはないはずなのですが、
Biddulphの復刻をGALAN 9で聞くと、
SPの情報量の多さに、
針音や多少の録音の古さはあっても、
現代の録音に決して引けを取らない音で、
ごく自然に聴けてしまいます。
何より帯域が自然で、
ダイナミックレンジも結構広いです。
GALAN 9の優れた解像度が、
Biddulph盤SPからの復刻の情報量の多さを、
教えてくれているかのようです。

第3楽章
「リディア旋法による、病より癒えたる者の神への聖なる感謝の歌」は、
ブッシュ弦楽四重奏団の深い響きと切実な音楽に、
ずっと身を浸していたい思いに駆られました。
さらに、有名な第5楽章のメロディの何と魅力的なこと!
SPからの優秀な復刻盤を、
GALAN 9はしっかりとしたクオリティで聞かせてくれました。


【GALAN 9のスペック】
形式:2ウェイ バスレフ
出力:80/140 W
周波数特性:36…65.000 Hz
クロスオーバー周波数:2900 Hz
能率:85 dB
インピーダンス:4Ω
トゥイーター:quadral quSENSE アルミニウム リボン
ウーファー:155mm quadral ALTIMA
寸法(w x h x d):33 x 21 x 29 cm
重量:10 kg/1台

kna_baka_syuzo

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