QUADRAL GALAN 9 試聴記 その8
アメリカのレーベルMercuryはEverestとともに、
優秀録音で有名です。
小生宅にも何枚かありますが、
「へえ!これが1950年代の録音か!」と、
驚かされることが再々です。
その中で最近気に入っているのが、
アンタール・ドラティ指揮ロンドン交響楽団の、
エネスコのルーマニア狂詩曲第2番、
ブラームスのハンガリー舞曲集、
同じくブラームスの「ハイドンの主題による変奏曲」が入った1枚です。
ドラティはアメリカに帰化、
アメリカを中心に活躍した指揮者という印象が強いですが、
ハンガリー出身の指揮者です。
このCDに収録されているハンガリー舞曲集など、
「うわ!」
と驚くほどのハンガリー情緒満載で、
このテンポでやって(かなり速いです)、
初めて熱に浮かれて沸き立つような情感の表出が可能なのか、
と思い至ります。
リズムもキビキビと気持ちがいいです。
そして、それだけではなく、
緩やかな部分の情感も、
なるほど、と頷けるほどしっかりと聞くことができます。
第4番の冒頭部など、
危険なほどにセンチメンタルです。
すぐにアップテンポの部分に移りますが、
アップテンポの部分を挟み込むように繰り返される冒頭のメロディは、
まさに大メロドラマの世界です。
フィルアップされているエネスコ/ルーマニア狂詩曲、
ブラームス/ハイドンの主題による変奏曲も大変な名演、
そして名録音です。
録音もすごいです。
GALAN 9では、
それほどボリュームを上げなくても、
ど迫力の管弦楽が眼前いっぱいに広がります。
これが1955年から1960年にかけての録音なのか!
と、当時のMercuryの録音技術が魔術に思えるほどです。
全体的には少し腰高ですが、
ハンガリー出身の指揮者は
低域から積み重ねるピラミッドバランスのドイツの指揮者に比べて、
少し腰高の明晰性を重んじるバランスであることが多く、
このバランスで当たり前でしょう。
例えば、フリッツ・ライナー、ユージン・オーマンディ、イシュトヴァン・ケルテス、
ゲオルグ・ショルティなどがハンガリー出身の指揮者です。
そのことを頭に入れて聞くと、
バランスは全然問題なく、
GALAN 9では高域から低域まで、
凄まじい解像度で迫ってきます。
まるで音楽に追いかけられているようです。
聞いていて、
その音響特性にカタルシスが得られるような演奏録音でした。
【GALAN 9のスペック】
形式:2ウェイ バスレフ
出力:80/140 W
周波数特性:36…65.000 Hz
クロスオーバー周波数:2900 Hz
能率:85 dB
インピーダンス:4Ω
トゥイーター:quadral quSENSE アルミニウム リボン
ウーファー:155mm quadral ALTIMA
寸法(w x h x d):33 x 21 x 29 cm
重量:10 kg/1台
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